表1.ビタミン一覧表
                                               ※他の呼び方、mg換算は本間記
分類 名 称 他の呼び方 ビタミン活性をもつ主な化合物名(別名) 所要量(1日当り) 許容上限摂取量
成年男子 mg換算 成年女子 mg換算 mg換算
脂溶性ビタミン ビタミンA A レチノール(A1アルコール) 0.60 mg 0.60mg 0.54 mg 0.54mg 1.5 mg 1.5mg
レチナール(A1アルデヒド) =2000IU =1800IU =5000IU
レチノイン酸(A1酸)
3-デヒドロレチノール(A2アルコール)
3-デヒドロレチナール(A2アルデヒド)
3-デヒドロレチノイン酸(A2酸)
カロテン
(酸化防止剤)
β-カロテン*
フラボノイド
(酸化防止剤)
(=1340mg) (=1206mg) (=3350mg)
ビタミンD D エルゴカルシフェロール(D2) 2.5 μg 0.0025mg 2.5 μg 0.0025mg 50 μg 0.05mg
コレカルシフェロール(D3) = 100 IU = 100 IU =2000IU
エルゴステロール**
7-ヒドロコレステロール** (=67mg) (=67mg) (=1340mg)
ビタミンE
(酸化防止剤)
E α-トコフェロール 10 mg 10mg 8 mg 8mg 600 mg 600mg
ビタミンK K フィロキノン(K1) 65μg 0.065mg 55μg 0.055mg 30000μg       =30 mg 30mg
メナキノン(K2)
メナジオン(K3)***
分類 名 称 他の呼び方 ビタミン活性をもつ主な化合物名(別名) 所要量(1日当り) 許容上限
摂取量
mg換算
成年男子 mg換算 成年女子 mg換算
水溶性ビタミン

#
ビタミンB1 B1 チアミン (アノイリン) 1.1 mg 1.1mg 0.8 mg 0.8mg -
ビタミンB2 B2 リボフラビン 1.2 mg 1.2mg 1.0 mg 1.0mg -
ビタミンB6 B6 ピリドキシン 1.6 mg 1.6mg 1.2 mg 1.2mg 100mg 100mg
ピリドキサール
ピリドキサミン
ビタミンB12 B12 コバラミン 2.4μg 0.0024mg 2.4μg 0.0024mg -
葉 酸 B9 葉酸(プテロイルグルタミン酸) 0.2 mg 0.2mg 0.2 mg 0.2mg 1000μg=1 mg 1mg
ナイアシン B3 ニコチン酸 17 mg 17mg 13 mg 13mg 30mg 30mg
ニコチンアミド(ニコチン酸アミド)
パントテン酸 B5 パントテン酸 5 mg 5mg 5 mg 5mg -
ビオチン B7 ビオチン 30 μg 0.03mg 30μg 0.03mg -
(ビタミンH)
ビタミンC
(酸化防止剤)
C アスコルビン酸 100 mg 100mg 100 mg 100mg -
# 水溶性ビタミンのうちビタミンC以外の8種類を一括してB群ビタミンと呼ぶ。
*β-カロテンはプロビタミンA
**エルゴステロールと7-ヒドロコレステロールはプロビタミンD
***メナジオンは合成品
(上記以外の酸化防止剤):フラボノイド類 (ビタミンA等): ブロッコリー、ざくろ、ライム、大豆、オレンジ、レモン、りんご、ホワイト種のグレープフルーツ、たまねぎ、およびチョコレート
参照:?「ビタミンの日」委員会,2004



表2.ビタミン一覧表(化学名、作用、欠乏症、存在)
脂溶性ビタミン(存在#各ビタミンを比較的に多く含んでいる食品)
ビタミン名 化学名(活性型) 作用 欠乏症 過剰症 存在#
Retinol 視覚色素生成、皮膚・粘膜細胞のたんぱく質代謝 夜盲症、角膜炎 脳脊髄圧の急上昇がおこり、慢性的には、全身のいろいろの部位で、実にいろいろの病変(頭痛、吐き気、肝臓障害など)がおこります。ただし、プロビタミンAの代表であるβ-カロテンは過剰症をおこさないと言われています。 肝臓、ウナギ、緑黄色野菜*、ニンジン*、かぼちゃ*
Retinal 症状 カロテン…にんじん、スカッシュ(カボチャの一種)、ブロッコリー、薩摩芋、トマト、ケール、コラード(米国南部産の野菜)、マスクメロン、マンゴー、モモ、およびアプリコット
Retinoic acid 夜盲症
皮膚・粘膜などの乾燥化:眼球乾燥症、ビトー斑、視力低下、失明、毛包周囲の角化、角膜軟化症 皮膚乾燥、無気力、眼球乾燥、食欲不振、吐き気、脱毛、肝脾腫大、四肢長管骨の有痛性腫脹、頭痛、悪寒、関節痛、口唇炎など
原発性ビタミンA欠乏症:通常は長期の摂食不足によって発症。南アジア、東アジアなどのカロテンを欠いた米を主食とする地域特有のものである。 フラボノイド類…ブロッコリー、ざくろ、ライム、大豆、オレンジ、レモン、りんご、ホワイト種のグレープフルーツ、たまねぎ、およびチョコレート
続発性ビタミンA欠乏症:
治療:3000~10000IU/日内服
*はプロビタミンA(β‐カロチン)
Calciferol CaとPの代謝調節、骨の形成 くる病、骨粗鬆症、歯牙発育障害 食欲不振、体重減少、嘔吐、頻尿などをおこし、腎臓や動脈にカルシウムが異常沈着し、死にいたることもあります。 魚肉、肝臓、きくらげ、椎茸**
(25-Hydro-および1α,25-Dihydro-D3) 症状 高カルシウム血症、腎障害(多尿)、石灰沈着、悪心、嘔吐、食欲不振、体重減少など
くる病 、骨軟化症
治療:1α-OH-D3を1~2μg/日内服 **はプロビタミンD
α‐Tocoferol 抗酸化剤、細胞膜などの安定化、動脈硬化の予防 症状:溶血性貧血、未熟児で浮腫、脱毛                      治療:10~300mg/日内服 脂溶性ビタミンであり体内に蓄積されやすいことから、許容上限摂取量が決められていますが、所要量の60倍です。従って、よほど多量にとらない限り、過剰症の心配はありません。 植物油、ナッツ、トロ、…麦芽、ナッツ(アーモンド、クルミ、およびピーナッツ)、種子、全粒粉、緑色の葉菜、サフラワーオイル、コーンオイル、および魚肝油のような植物油
3g以上で、頭痛、疲労、吐き気など
Menadione 血液凝固、骨形成の促進 新生児脳内出血 脂溶性ですが、体内での蓄積はあまり多くありません。許容上限摂取量が決められていますが、所要量の500倍です。従って、無謀に大量を与えるようなことをしなければ、過剰症にはなりません。 納豆、わかめ、のり、緑葉野菜
症状 :出血傾向、新生児メレナ
治療:10~50mg/日筋注 溶血性貧血、核黄疸、高ビリルビン血症
水溶性ビタミン(存在#各ビタミンを比較的に多く含んでいる食品)
ビタミン名 化学名(活性型) 作用 欠乏症 過剰症 存在#
B1 Thiamine ケト酸脱炭酸酵素とトランスケトラーゼの補酵素 脚気、ウエルニツケ脳症 報告なし 酵母、小麦胚芽、豚肉
(TDP, TTP) 症状
脚気、ウエルニッケ脳症(意識障害、精神障害)
治療:10~100mg/日内服もしくは100~200mg/日静注
B2 Riboflavin(FMN,FAD) フラビン酵素の補酵素 口角炎、舌炎、口唇炎 報告なし 酵母、肝臓、のり、牛乳、卵
症状
口角炎、口唇炎、口内炎、舌炎、羞明、流涙、脂漏性皮膚炎
治療:30~50mg/日内服
B6 Pyridoxin アミノ酸代謝酵素の補酵素 末梢神経炎、皮膚炎、シュウ酸結石 過剰症で中毒症状 魚介類、肉類、肝臓、
(PLP) 症状 :貧血、多発性末梢神経炎、脂漏性皮膚炎、口角炎、舌炎 1日200mgの摂取で神経異常。500mg摂取し、日光浴で皮膚の紅潮を起こすこともある。
治療:5~100mg/日内服
B12 Cobalamin(AdCbl,MeCbl) コバラミン酵素の補酵素、メチオニン代謝 悪性貧血、メチルマロン酸尿症 記述なし 肝臓、貝類
症状 :巨赤芽球性貧血(悪性貧血)、ハンター舌炎、末梢神経炎、亜急性連合脊椎変性症
治療:1mg筋注
葉酸 Folic acid(THF) 葉酸酵素の補酵素 大球性貧血 過剰症で中毒症状 ほうれんそう
症状 :巨赤芽球性貧血(悪性貧血)、下痢、舌炎、二分脊椎症 大過剰で亜鉛の吸収阻害。B12の欠乏をかくすこともある
治療:10~20mg/日内服
ナイアシン Nicotinic acid, 多くの酸化還元酵素の補酵素 ペラグラ、皮膚炎、中枢神経炎 過剰症で中毒症状 豆類、魚介類、肉類
症状 :ペラグラ(皮膚炎、下痢、痴呆) 皮膚の紅潮、頭痛、吐き気、下痢など
Nicotinamide  (NAD, NADP) 治療:ニコチン酸アミドを50~200mg/日内服
パントテン酸 Pantothenic acid(CoA) アシル基転移酵素の補酵素 特になし 報告なし 酵母、肝臓
症状 :四肢のしびれ感、足の灼熱感
治療:50~100mg/日内服
ビオチン Biotin 炭酸固定・脱離酵素の補酵素 筋肉痛、皮膚炎 10mgまでの摂取で過剰症の報告なし 穀類、豆類、肉類、魚介類
症状 :脂漏性皮膚炎、舌炎、筋肉痛、悪心、嘔吐
治療:100~3000μg/日内服
Ascorbic acid 抗酸化剤 症状 :壊血病(小児の場合はメラー・バロウ病)               治療:50~2000mg/日内服
尿路結石 レモン、パセリ、グアバ、いちご、オレンジ、茶、いも   …柑橘類、ピーマン、ブロッコリー、緑色の葉菜、いちご、生のキャベツ、およびじゃがいも
表2では、化学名は英語で書いてあります。( )の内は、活性型(第6話参照)の略記号です。
参照:? 「ビタミンの日」委員会,2004