1981年
インスリン発見から
60年
昭和56 ●ヒト型インスリン(遺伝子組み換え)の開発

インスリン自己注射健保適用

(以下原文)
インシュリン自己注射について
(昭和五六年五月二一日)
(医事第三八号)
(各都道府県衛生主管部(局)長あて厚生省医務局医事課長通知)
標記について、別紙1により国立小児病院長から照会があり、これに対し別紙2のとおり回答したので、関係方面への周知徹底について、よろしくお取り計らい願いたい。
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別紙1
(昭和五六年四月二五日 国小児発第一七四号)
(厚生省医務局医事課長あて国立小児病院長照会)
糖尿病患者のうちには、毎日インシュリンの注射をしつづけなければならない者がおり、注射をしていれば、通常の社会生活ができるが、注射を中断すれば生命に係る大きな危険があります。しかし、その為に毎日医療機関に通院しなければならないことは、患者にとって大きな支障となっております。
そこで、インシュリン自己注射が考え出され、欧米諸国では常識化されており、我が国でも普及しています。しかし、担当する医師の中にはインシュリン自己注射が医師法第十七条違反にならないかどうかに不安をもつ者もあるので、左記について医務局の見解を伺います。

医師が継続的なインシュリン注射を必要と判断する糖尿病患者に対し、十分な患者教育および家族教育を行った上で、適切な指導及び管理のもとに患者自身(又は家族)に指示して、インシュリン自己注射をしても医師法第十七条違反とはならないと考えるがどうか。
別紙2
(昭和五六年五月二一日 医事第三八号)
(国立小児病院長あて厚生省医務局医事課長回答)

昭和五十六年四月二十五日付け国小児発第一七四号をもって照会のあった標記については、貴見のとおりである。

●医療が医療側と患者との共同作業によって成立することを国として公認した最初の出来事として,インスリン自己注射の歴史は今後とも記録に残る事柄となった。
(平田幸正 インスリン自己注射の公認まで より)

(再掲)
●インスリン自己注射健保適用に関して、日本糖尿病学会は学会から厚生省に要望する形式ではなく理事が個人々々で要望する方針を決定した。厚生省は学会よりの要請を必要としていたので日本内分泌学会がそれを行い1981年にようやく公認された。
(後藤由夫 「私の糖尿病歴50年 -糖尿病医療のあゆみ-」より)

●日本糖尿病学会はむしろ,この件(インスリン自己注射健保適用)に関し,横車どころか,サイレントであった.
 日本では昭和40年代に一部の小児科医によってインスリンを保険外で用いられていた。
・・・熊本県小児糖尿病を守る会に対し昭和48年(1973)厚生省の山口政務次官は、「難病指定はその方向で検討し,インスリンの自己注射と家庭注射については,生命を守ることが優先であり,違法ではない」という見解を示した。
 しかるに,昭和51年(1976)12月10日付でインスリン自己注射方式によるインスリン注射薬の投与は中止する旨,厚生省から熊本県保険課へ通達があり・・・熊本県小児糖尿病を守る会は、昭和53年(1978)に至り厚生省を相手どって訴訟を起こす予定であったが,インスリン自己注射の健保適用の見通しが見えてきたので,訴訟を見合わせる。
・・・が、厚生省は長野県方式への圧迫をした。
 しかし、きわめて熱心にこのことに取り組んでくれた厚生省の技官が出現し,先方からの接触があった.この接触の始まる基盤には,多数の布石があったことは事実である.同技官は,インスリン自己注射の公認について,長年月にわたってイギリスに留学することになった。
さらに最終的にすべてをクリアして,昭和56年(1981)6月にインスリンの自己注射を公認した。
(平田幸正 インスリン自己注射の公認まで より)

本間注:日本では、1921年インスリン発見からなんと60年経過しています。
 世界ではインスリン発見の翌年1922年頃から患者に臨床利用されています。

・・・この間日本では何十万人の患者が死んで行ったのか(厚労省発表:インスリンが保険適応の1999年~2004年のデータでタイプを問わず年間約12,000人~13,000人が糖尿病で死亡していますので 糖尿病学会が全く動かず、インスリンが保険適応前では、少なくとも60年×12,000人=720,000人の数倍~数十倍の方達が死亡したものと推測できます。)・・・。

 1型糖尿病や1.5型糖尿病患者、2型糖尿病患者に対し無理解な医者や、組織としての日本糖尿病学会、日本医師会役員、厚労省官僚の無責任さが追求されないまま今も無理解・無支援・無策、不正な医原性による悪化の患者に対し生活習慣病と揶揄するに至っています。

 特に、1型糖尿病に関しては、厚労省等関係省庁は学会等に委ねず、一刻も早く不正医療の実態を把握し、日本糖尿病学会・糖尿病協会・糖尿病財団・日本医師会等の責任問題を問うて解体改善し、患者に対し早急な保護・救済策を講じて「謝罪」と「補償」をすべきです。