2001.11.15 公開特別講座 「雪崩とは・雪崩事故報告」 

かでる27

雪崩講習会第2弾

第1部 雪崩遭難者の運動-雪崩の動態から推測されること-

講師 成瀬廉二先生(北大低温研助教授)
 この講座の要旨は、雪崩の動態・・・つまり、雪崩とは一体どんな動き方をするのかっていうことです。雪崩の動態から・・・巻き込まれた人間はどうなっちゃうのか? そして、そこで考えられる私たちの対策などを教えていただきました。
 しかし、雪崩自体は本当に不確実で、決定的にこれだ!ということが言えないものらしい。(それはそうですね! 雪崩は気まぐれなやつですから。)
 そんな中で、わかっていることとして、次の様な雪崩の形態が挙げられます。

1、流れ型雪崩・・・雪面が切れてブロック化しながら細かくなっていくが、そこそこで終わる規模の小さい物。

2、煙型雪崩・・・・流れ型がもっと発達し、周りの新雪を取り込んで、大量の物凄く細かい雪が斜面を高速でかけ落ちる規模の大きい物。

 特に、煙型雪崩の場合は爆風を伴い、そのスピードは秒速70メートルにも達するそうです。
 
 それでは、雪崩に巻き込まれた人はどういう状況下に置かれているのか。
 発生直後は、斜面の滑るスピードも遅く、足元の雪面はまだ立つだけの浮力があり、その時にできるだけ流れ層から逃げるように努力する。・・・つまり横に逃げろってことですか。ちなみに流れ層の真ん中が一番速度が早いっていうことも知っておく必要があります。その後だんだん流れ層は細かく砕けていくので浮力は無くなっていきます。つまり、雪崩の中に沈んでしまうことになります。雪崩の速度が遅いうちになんとかしなくてはいけない訳です。煙型にまでに発達したら相当細かい雪の粒子の中で揉まれることになってしまいます。
 しかし、実は雪崩の核心部はある程度浮力があるそうです。それは水よりも少し大きいくらいでは無いかと考えられています。だから、雪崩の中で泳ぐという行為は実は大切なことなのかもしれません。

 この事から、もし私たちが雪崩れそうな斜面で行動しなければならない時には気をつけなくてはいけないことがあると思います。

・ザックのベルトやリングを外しやすくする。スキー、ポールを捨てやすいようにする。
・もしも雪崩れたら、速度の遅いうちに横へ逃げる。
・もしも雪崩れたら、速度の遅いうちに木や岩につかまる。
・雪崩の内部に沈まないように泳ぐ。(何でも良いから!)
・(雪崩にもぐったら)口を大きく開けると雪が入ってくるので、口をふさぎ鼻呼吸をする。
・(停止の直前には)手を口の周りに置き、動かし、呼吸の空間を作る。
・デブリに埋まったら、静かに救出を待つ。もがいたり、叫んだりしない。
 
 救助する側の人間も、よく覚えていておかなくてはならないことは・・・雪崩は確かに停止すると硬くなる。しかし、埋没した人間はまだデブリが柔らかいうちに停止するので、殆どの場合デブリの末端に埋没している場合が多ということ。自分が仲間を捜索する時にはこの事実をまずしっかり頭の中に叩き込んでおく必要があります。
 
 いざ、雪崩に巻き込まれたら絶対に上記の事を冷静に行うことはまず不可能ですが、イメージを持っていることは非常に大切なことだと・・・先生はおっしゃっていました。

第2部 雪崩事故報告

○無意根山学校尾根
 無意根の事故は・・・本当に何気ない行動で発生した事故でした。幸い死亡者を出すことなく終わりましたが、「あんなとこで雪崩れるはずがない」という斜面で実際に起こった事故の報告でした。
 ハンドテスト等をしっかり行っていれば・・・絶対過信はいけないということでしょう! ちなみに2.5レベルの弱層が確認されていたそうです。
 それにしても運が良かった・・・そんな気がしてなりません! 故に雪崩について学ぶべし!
 また、天候(暖気)には要注意だなと! これからは毎日の天候チェックが欠かせませんね! これはマジです。

○ニセコアンヌプリ大沢
 非常に自分の身に降りかかってもおかしくない事故でした。とにかく1時間も埋まっていて助かったのは奇跡! 埋まっていた時、当事者は立った状態だと思っていたようですが、実際救出された時は横になって発見されました。デブリの圧力が全方向均一にかかるので方向感覚が失われるらしい。
 とにかく、天候チェックが大切です。3日前に雨が降ってまた寒気が来てという気象条件はやばいでしょう。去年の事故ですが、その時も思いました。
 また、雪崩発生時は友人を待つために停止していたところ、足元から雪崩れたということで、発生直前の行動にも問題があるかもしれません。

 ハンドテスト、天候チェックなどしっかり見る目を身に付けたいと感じました。